自社開発・委託開発の業務システムを、ChatGPT・Claudeにつなぐ方法

自社で開発した、または開発会社に依頼して作った販売管理・顧客管理・在庫管理などの業務システム。そのデータを、ChatGPTやClaudeに「今月の売上上位の取引先は?」と聞くだけで確認できたら、集計表を作る手間が減ります。この記事では、非エンジニアの担当者が、自社専用の業務システムを生成AIにつなぐための選択肢と手順、判断基準を整理します。
「AI連携」には3つの意味がある
「自社システム ChatGPT 連携」で調べると、性質の違う話が混ざって出てきます。最初に、自社がやりたいのがどれかを切り分けてください。
| 種類 | やりたいこと | 主な手段 |
|---|---|---|
| ① 社内文書を読ませる | マニュアルや規程をAIに読ませて、質問に答えさせる | ファイル連携、RAG(文書検索) |
| ② 自社サービスにAIを組み込む | 自社のアプリやWebサイトにチャット機能を付ける | OpenAIなどのAPIを使った開発 |
| ③ 業務システムのデータをAIから使う | ChatGPTやClaudeの画面から、販売管理の売上や在庫数を聞く | 業務システムのAPIをAIの「接続先」として登録する |
この記事が扱うのは③です。①は文書が対象なので、日々変わる売上や在庫の数字には向きません。②は自社のお客様向けの機能を作る話で、社員が自社データを聞く用途とは別物です。

つなぐために必要な4つのもの
③を実現するには、次の4つがそろっている必要があります。どれか1つでも欠けると、方法を選ぶ前に止まります。
- 業務システムのAPI:ほかのシステムがデータを取り出すための窓口です。ECサイトや会計ソフトと自動でデータをやりとりしているなら、APIがある可能性が高いです。
- APIの仕様がわかる資料:どの窓口で何が取れるかを書いた資料です。Excelの設計書やWordの資料でも、内容が書いてあれば手がかりになります。
- APIを呼ぶための鍵:APIキーやトークンと呼ばれる、合言葉にあたるものです。多くの場合、開発会社やシステム管理者が発行します。
- インターネットから届くこと:ChatGPTもClaudeも、クラウド側から接続先にアクセスします。社内ネットワークの中からしか使えないシステムには、そのままでは届きません。
- ChatGPT・Claudeクラウド側から接続先にアクセスする
- 接続先④ インターネットから届くこと③ APIを呼ぶための鍵(APIキー・トークン)
- 業務システム① API(データを取り出す窓口)② APIの仕様がわかる資料(どの窓口で何が取れるか)
1〜3の確かめ方と、開発会社への聞き方は「自社システムにAPIがあるか確かめる方法」で詳しく説明しています。
ChatGPT・Claude側の対応状況(2026年10月時点)
ChatGPTもClaudeも、外部のシステムを「接続先」として追加する仕組みを持っています。この仕組みは、MCP(Model Context Protocol)という共通の規格に沿っています。MCPは、AIアプリと外部のシステムをつなぐための公開された規格で、公式サイトでは「AIアプリのためのUSB-Cのようなもの」と説明されています。利用者がMCPの中身を理解する必要はありませんが、AI側の設定画面や公式ヘルプにはこの言葉が出てきます。
ただし、使えるプランや設定できる人は、AIごとに違います。公式ヘルプで確認できた内容は次のとおりです。
| 項目 | Claude | ChatGPT |
|---|---|---|
| 機能の名前 | カスタムコネクタ | 開発者モードとMCPアプリ |
| 対象プラン | Free・Pro・Max・Team・Enterprise(Freeは1つまで) | Business・Enterprise・Edu。Proは読み取り系の機能のみ接続可 |
| 追加できる人 | Team/Enterpriseでは、オーナーなど権限のある人 | Businessでは管理者・オーナーのみ。Enterprise/Eduは管理者が権限を割り当て |
| 使える場所 | Web版・デスクトップアプリなど | Web版のみ(モバイルは不可) |
| 接続先の条件 | Anthropicのクラウドから、インターネット経由で届くこと | リモートの接続先であること。社内ネットワーク内は専用の仕組みが必要 |
出典は記事末に記載しています。どちらも更新が頻繁なため、導入前に公式ヘルプで最新の条件を確認してください。特にChatGPTは、ご契約のプランによって使える範囲が大きく変わります。
プランごとの条件と設定の手順は、ChatGPTは「ChatGPTのプラン別:社内システムをつなげる条件と設定手順」、Claudeは「Claudeのカスタムコネクタで社内システムを使う手順」で詳しく説明しています。
4つの方法と、向いている会社
業務システムのデータをAIで扱う方法は、大きく4つあります。
| 方法 | 内容 | 向いている会社 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| A. CSVで書き出して渡す | システムから表を書き出し、AIにファイルとして渡す | 月に数回だけ分析したい | 毎回手作業。最新の数字ではない。書き出した表の管理が必要 |
| B. 開発会社に個別に依頼 | システムを作った開発会社に、AIとの接続部分を作ってもらう | 予算があり、書き込みや複雑な集計まで任せたい | 個別見積もり。仕様の打ち合わせから始まり、保守費もかかる |
| C. 社内のエンジニアが作る | MCPの規格に沿った接続部分を自社で開発・運用する | 社内にエンジニアがいて、運用も担える | サーバーの運用、鍵の管理、API変更への追従が自社の仕事になる |
| D. 既存のAPIをつなぐサービスを使う | 仕様書と鍵を登録し、AIの接続先を用意してもらう | まず試したい。エンジニアがいない | サービスに鍵を預けることになる。データの扱いと権限を確認する |
選び方の目安
- まず効果を確かめたい:Aで「AIに聞いて役に立つ質問」があるかを試し、手応えがあればDかBへ。
- データを書き換える操作(受注登録など)までAIに任せたい:BかC。誤操作の防止や確認の設計が必要で、個別の作り込みが向いています。
- 見るだけで十分:DかC。読み取りに絞ると、確認すべき安全面の論点が大きく減ります。
- APIがない:どの方法でも、まずAPIの追加開発が必要です(Aを除く)。開発会社への相談が先になります。
進め方の5ステップ
- 聞きたいことを3つ書き出す
- その答えがAPIで取れるかを確かめる
- 読み取り専用の鍵を用意する
- 実際のデータで答えを確かめる
- 少人数で2〜4週間使ってから広げる
- 聞きたいことを3つ書き出す
「今月の売上上位10社」「この商品の在庫数」「先月から取引が止まった顧客」のように、実際に毎週誰かが調べていることを書きます。ここが曖昧だと、つないでも使われません。 - その答えがAPIで取れるかを確かめる
仕様書で、該当するデータを返す窓口があるかを探します。わからなければ、書き出した3つの質問をそのまま開発会社に見せて聞くのが早道です。 - 読み取り専用の鍵を用意する
最初は、データを見るだけの権限に絞った鍵を発行してもらいます。登録・更新・削除ができる鍵は使いません。理由は「安全チェックリスト」で説明しています。 - 実際のデータで答えを確かめる
AIの答えと、システムの画面で見た数字を突き合わせます。期間の区切り(締め日)や、税込・税抜の違いでずれることがよくあります。 - 少人数で2〜4週間使ってから広げる
使われた質問と、使われなかった機能を見て、接続する範囲を見直します。
費用の考え方
金額は会社ごとに大きく違うため、ここでは内訳の考え方を示します。
- AI側の利用料:使う人数分のプラン料金です。ChatGPTで接続先を使うには、BusinessやEnterpriseなどの法人向けプランが前提になることが多く、個人向けプランのままでは使えない場合があります。
- 接続部分を作る費用:B・Cの場合は、仕様確認、開発、テスト、本番への反映にかかる工数です。Bは開発会社の見積もり、Cは社内の人件費として考えます。
- 保守の費用:業務システムのAPIが変わったときに、接続部分を直す費用です。見落とされやすく、Bでは保守契約の範囲に含まれるかを確認してください。
- APIの追加開発:APIがない、または必要なデータが取れない場合の費用です。これがある場合は、全体の中で最も大きくなりがちです。
見積もりを比べるときは、「読み取りだけか、書き込みも含むか」「対象の機能はいくつか」「APIが変わったときの対応は誰がするか」をそろえて比べると、金額の差の理由が見えます。
よくある失敗
- 社内ネットワークの中にしかないことに、後で気づく:AIのクラウドから届かないため、つなげません。最初に開発会社へ確認する項目に入れてください。
- 管理者用の鍵をそのまま使う:何でもできる鍵は、誤操作や漏えいのときの影響が大きくなります。
- 使える機能を全部AIに見せる:機能が多いと、AIが似た機能を取り違えることがあります。最初は聞きたいことに必要な機能だけに絞ります。
- プランの条件を確かめずに始める:ChatGPTの個人向けプランでは接続先を追加できない、といった食い違いが起きます(ChatGPTのプラン別の条件)。
- 大量の集計をAIに任せる:何千件もの明細をAIに足し算させると、取りこぼしや計算違いが起きやすくなります。集計はシステム側のAPIで行い、AIには結果の説明や比較を任せるのが安全です。
出典・参考
- Anthropic「Get started with custom connectors using remote MCP」(Claudeヘルプセンター)
- Anthropic「Use connectors to extend Claude's capabilities」(Claudeヘルプセンター)
- OpenAI「Developer mode and MCP apps in ChatGPT」(OpenAI Help Center)
- Model Context Protocol「What is the Model Context Protocol (MCP)?」
ChatGPT・Claudeの機能と提供プランは、2026年10月8日時点で各社の公式ヘルプを確認した内容です。変更されることがあるため、導入前に最新の公式情報をご確認ください。

